宍戸氏調理中の画像

第1回テラプレーン杯結果発表!

日本人の食卓が変わり、味噌の売り上げがどんどん落ちていることも懸念される昨今の状況の中で、今こそみそ汁に注目を集めることで食文化への関心を高めたい──。
テラプレーンのマスターであり、自身は漁師であり魚屋修行の経歴を持つ宍戸氏の、こうした思いから開催された今回のテラプレーン杯でした。

1月26日(金)開催の今回はこれまでと趣向を変え、レシピを一般公募せずに行う新しい試みでのイベントを企画。
大会本部がこれまで審査してきたレシピの中で、意外にバリエーションが少ない具材やその組み合わせをピックアップして宍戸氏への「お題」として投げかけ、それに宍戸氏がどのように腕を奮うかという内容となりました。
そのお題がこちら…
お題
言い換えればみそ汁としてアレンジの幅が狭いと思われる具材を、参加者を唸らせることができるほどの一品に仕上げることが果たしてできるのか!?
そんな不安を他所に、実際に参加者が期待に胸を膨らませながらすすったみそ汁は、どれもアイデアと技の光る驚きの味となっていたのでありました。
以下に結果と、提供された3種類のみそ汁の解説を掲載します。

優勝:ワカメと豆腐の赤だし

ワカメと豆腐の赤だしの画像
ワカメと豆腐の赤だし

ワカメはツルッとした食感とプリプリとした歯ごたえの三陸産の新鮮な生ワカメを使用。味噌は全国でも2箇所しかないという製造所のうち一社の八丁味噌を使い、まろやかな赤だし仕立てとした。そして決め手となったのは盛り付け後に少しだけ振りかけられた「山椒」の粉!
その独特の香りと刺激が、赤だしのコクに広がりと奥行きを持たせて、豆腐とワカメの甘みや食感を引き立てるのでした。
宍戸氏がかつてとある鰻屋で口にし、忘れることができなかった味を再現したこの一杯に、試食をした参加者の支持も集まって今回の優勝となりました。

第2位:大根と冬野菜

大根と冬野菜のみそ汁の画像
大根と冬野菜

大根の他に、ニンジン、エノキ、白菜といった冬が旬の野菜を使用。カツオの出汁と麹味噌を使って、野菜の甘みと旨味が存分に溶け出たみそ汁に仕上げました。一口すすると、その天然の滋味が身体中に広がるから驚き!その秘密は1日前からの野菜の仕込みと、一度生のまま冷凍したエノキ。キノコ類はそのままよりも、一度冷凍庫で凍らせてから料理に使用することで旨味も栄養分も引き出されるそうです。

第3位:ニラとタマネギの卵とじ

ニラとタマネギの卵とじのみそ汁の画像
ニラとタマネギの卵とじ

いりこの香ばしさのある出汁が今回唯一の動物性の具材である卵にマッチ!玉ねぎの甘さに寄り添うような西京味噌の風味が、口をつけるたびにホッとする逸品となりました。かき玉にした卵も、彩りを考えて黄身と白身に分けて流し入れる一手間も技ありです。火を止める間際に散らしたニラの鮮烈な緑色と相まって、春を待ちわびる季節の料理とも言える仕上がりでした。


試食には当然、これがなきゃ始まらない「炊きたての白飯」と、宍戸氏が築地の市場で直接買い付けたとっておきの漬物や、軽く炙った明太子が提供されました。
白飯と副菜の画像
みそ汁に合う白飯と副菜
最近ではなかなか口にする機会の少ない、簡素だけれど味わい深い食卓を囲みながら、料理好きのマスター宍戸氏からつぎつぎと溢れてくる食材や調理の話に耳を傾けるという非常にためになるイベントとなりました。
また、過去の大会でも独自の調査と手作りの資料で行っていた、みそ汁への愛を熱く語る(?)大野ヒロトの「みそ汁講義」をここでも披露!
大野ヒロトのみそ汁講座の画像
大野ヒロトのみそ汁講座
会場の参加者は今時のみそ汁事情について驚いたり共感したりして、みそ汁への関心を深めていただけたようでした。
次回は3月に開催を予定していますので、今回都合がつかなかった方、風邪で涙を飲んだ方、あまりの寒さに心が折れた方(笑)などなど…ぜひ一度ご参加くださいませ^^